「これは政治的な問題ではなく科学的な問題だ」台湾「放射能汚染食品の国民投票」を実施へ 日本から失望の声
これは野党国民党(KMT)による根強い「放射能汚染食品規制」を求める抗議活動が勝利した形だ。同党は国民投票を呼びかけ、約47万の署名を集めた。わずか28万人分の署名を集めれば、合法的な国民投票を行うことができる。
国民投票は11月24日、台湾中央選挙管理委員会が発表した地方自治体、郡、町の統一地方選挙と同日に実施される。
国民投票の投票率が25%に達した場合、結果は合法と見なされる。投票は地方選挙と同時に実施されるため、定数に達する可能性は高い。
日本台湾交流協会の沼田幹夫駐日事務次官は、国民投票に対して遺憾の意を表明した。
沼田氏は、協会のFacebookページに発表された声明において「このような予期せぬ結果に失望を禁じ得ない」と述べた。
「これによって、台湾に対する気持ちが変わることはない。[…] 毎年、台湾から450万人以上が日本を訪れており、福島県産の商品を含め、消費者向け食品を食べている。
「もし食品が安全でなければ、日本でも販売されていないはずだ。
「輸入規制の解除については、科学的根拠と専門的な視点に基づいて判断されるべきだ。これを政治的ツールとして使用し、台湾の国民を引き込むべきではない」と沼田氏は付け加えた。
「国民党の行動により、日本と台湾の間に築かれた友好関係が損なわれないようにすることが今の私の仕事です。
「台湾国民が(来月、投票する際に)冷静に合理的な決定を下すことを願っている」
過去に承認された国民投票には、石炭発電所の建設や拡張、火力発電所の段階的廃止、同性結婚、台湾のスポーツチームの国際的イベントへの参加などが挙げられる。
「放射能汚染食品の国民投票」の背景
台湾の「放射能汚染食品」の輸入規制は、2011年に発生した福島の原発事故を受けて、福島県、茨城県、群馬県、栃木県、千葉県の5つの県で生産された食品の輸入に課せられた。
現在、これらの食品輸入を全面的に禁止しているのは、台湾と中国の2カ国のみである。
台湾政府は、これまでの規制を緩和するなど軟化する姿勢を示していている。
2段階に分けた規制緩和に向けて、検討が進められていた。まず福島県を除く全都道府県産の食品を認可し、6ヵ月後に規制をさらに緩和するというものだ。
しかし、これに対してKMTは強く反対し、政府に輸入食品の安全性を保証することができるのかと疑問を呈した。
さらに、規制対象の5県の食品が違法に台湾国内に持ち込まれたことが明らかになり、問題が複雑化した。この件はFDAによる措置が取られることになった。
これに伴い、台湾の与党政権は計画から引き下がった。