トランス脂肪酸からクリーンラベルへの移行がAAKアジア市場の拡大を後押し

By Tingmin Koe

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トランス脂肪酸からクリーンラベルへの移行がAAKアジア市場の拡大を後押し
食品原料メーカーAAKは、フィリピンでの工場新設計画や日本カスタマーイノベーションセンターの後押しにより、多数の事業分野においてアジア地域で急速な成長を遂げている。

日本とフィリピンにおけるAAKの戦略には、乳製品や特殊栄養食品、チョコレートや製菓用油脂の適用が含まれている。

AAKアジア地域代表取締役会長Torben Friis Lange氏は、「これらの施設に投資することで、地域の顧客サポートに力を注ぎ、AAKのグローバルソリューションへのアクセスを提供します」​ と語った。

アジア地域における目覚ましい成長

アジア太平洋地域では、AAKは新しい東京センターに加え、日本の他の地域、オーストラリア、中国、マレーシア、シンガポールで事業を運営している。

AAKシンガポールの東南アジア地域責任者兼AAKミヨシジャパン代表取締役のMichael Skriver氏は、AAKは全アジア市場で安定した有機的成長を遂げていて、「中核事業でも順調な伸びを示しています」​と語った。

Skriver氏によると、米国や欧州に先んじて部分水素化油脂の使用を禁止しようとする一部の地方自治体の動きにより、「トランス脂肪酸を排除するための植物性油脂メーカーの先駆け」として、AAKは市場機会を獲得するための絶好の位置にあるそうだ。

AAKでは、他の国々も追随するだろうと予測している。

「またアジアのトレンドを見ると、クリーンラベルに対する消費者のニーズも高まっています。このため、弊社では次世代型非トランス脂肪酸植物性油脂の開発と改良を続けています」​ と、同氏は付け加えた。

トルコや中東については、「多くの改善が見られた1年でした」と語り、AAKは「トップの位置」にあると説明した。

現在、AAKではアジア太平洋地域に約737名の従業員を擁している。

今年の第3四半期には、アジア本部としてシンガポールにイノベーションセンターを開設する予定である。

「昨年は、AAKにとって格別の1年でした。原市場よりも高い有機的成長、記録的な営業利益など、多くの輝かしい実績を収めました」​ と、Skriver氏は語った。

「特殊栄養食品や乳製品などの食品原料成分が、利益増加の主な要因でした。去年の後半には生産やサプライチェーンの面で問題が発生したにもかかわらず、チョコレートや製菓用油脂は対前年比で2桁の成長が報告されました。

前の年からの好調が持続し、昨年は財務業績11%増加という優れた財務業績を遂げました」

日本イノベーションセンターの新設

2016年上旬に、AAKはミヨシ油脂株式会社と提携して、日本市場向けの新しい会社「AAKミヨシジャパン」を設立した。

Skriver氏によると、この会社は 「業界トップクラスの商品、カスタマーイノベーション、技術資源の提供と現地のサプライチェーンの能力強化」​ を目的として創立されたそうだ。

AAKミヨシジャパンの開設により、グローバル動向に従い企画から商品開発まで日本の顧客との連携を強化できるようになりました」​ と同氏は語った。

新しいカスタマーイノベーションセンターは2018年第4四半期に開設される予定で、日本における加工食品メーカーのために特化した「共同開発」手法を用いる狙いである。

AAKでは日本のオリジナリティを維持しながら世界中から新しい発想を採り入れたいと考えている日本企業をターゲットにしています」​ と、Shriver氏は説明した。

センターの主な方針としては、(1)日本のトレンドに基づいて作成された商品を他の市場へ輸入したい顧客のサポート と(2)国際的なトレンドに基づいた顧客へのサポート提供と2つの提案がある。

AAKの中核事業は、多くの業界における天然および再生可能な原料に基づいた植物性油脂の製造です。日本はチョコレートや菓子の消費量が多く、注力主要対象の一つです」​ とShriver氏は語る。

「更に、特殊栄養ソリューション(脂質栄養学、医療用ベビーフード、健康食品)も、AAKが日本の高齢者向け市場と食品栄養市場を対象として開拓していきたい主力事業です。

「現地のイノベーションセンターでは、地元の顧客と密接に連携して付加価値の高い植物性油脂ソリューションを迅速に開発および提供することで、長期にわたる事業成果を実現できます」

日本は世界の中でもシニア層の割合がかなり高いため、健康食が重要視されている。チョコレート分野において、日本は高品質でヘルシーな食品を対象とした世界でも最大規模の市場であるとSkriver氏は語っている。

フィリピンの主要拠点

Skriver氏によると、フィリピンは国内消費量が多く、アジアで最も急速な経済成長を遂げている国の一つである。

「経済の急成長により、フィリピンにおける特殊および半特殊食用油の需要の増加が見込めます」​ と同氏は言った。

今年の年末に運用開始予定のフィリピン工場は、マニラから約100キロメートル南に位置するバタンガス州の製油所San Pablo Manufacturing Companyが所有する土地に建設される。

この理由は、コンテナ埠頭や植物油のバルク出荷用の突堤に近接している上に、主要顧客とも近い立地で 「フィリピン市場向けの優れた入荷物流や出荷物流を提供できるから」​ だと、Skriver氏が説明した。 

AAKはフィリピンにおいて持続可能な調達に力を注いでいる。同社では1930年代以来インドやスリランカからココナッツを調達していたが、フィリピンは現在ではアジア最大のココナッツ生産地の一つであると、Skriver氏は語る。

「世界市場では、地球に優しく原産地が明確なココナッツオイルの需要が増えています。乾燥させたココナッツ(コプラ)からオイルを抽出する工場と栽培地までの距離が離れているため、従来のココナッツ供給網は長距離で複雑でした。 

「フィリピンでは、AAKと工場は農家からコプラを直接買い取り、農家への利益の分け前が大きくなるようにトレーニングや装置を提供しています。

「また、弊社では中国、インド、米国、欧州のAAK工場にもココナッツオイルを調達しています」

フィリピンのカスタム工場では、まずチョコレートや製菓用油脂製品、乳製品、特殊栄養食品の供給に力を入れていく予定である。

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